フィギュアスケートの競技の1つ。氷上における男女混合のシンクロ競技にあたります。16人で滑り、美しい陣形変化を特徴とします。
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シングルのジャンプ、スピンと同じようにシンクロにも要素があり、その要素ごとにレベルがある。必須要素は出場カテゴリやシーズンで異なる。
レベルを上げる方法は要素ごとに異なるが、類似するものもある。中には各々のチームスタイルや曲に合わせて複数の中から選択できるものもあり、同じカテゴリの演技であっても様々なバリエーションが楽しめる。
全員が同じスピードで滑らないと形がくずれてしまう。
一重円、二重円、横並びの二~三個の円などがある。
一文字、二文字、三文字、四文字など、ウィールのスポーク(風車の羽根)の数は様々。
中心側の選手と外側の選手の滑るコース、スピードが違うため、スポークをまっすぐに保つことは難しい。
要素の中で回転方向や形、列が変化する要素
2つ以上の円が歯車のように交互にかみ合うインターロッキングという技や、2重円の内と外が複数回入れ替わるウィービングなどはサークルでしかみられない。
ウィールの場合、スポークの数が変化したり入れ替わる技があり、エッグビーター(泡だて器)のように、隣り合わせのウィールのスポークの外側が交互に一点を通過するインターロッキングは迫力がある。
サークル、ウィールの隊形を維持したまま移動する要素
サークル、ウィールの回転が止まらずなめらかに移動できると評価が高い。
クロスのみでなく、様々なステップをいれたり、ノーホールド(腕をつながない)で行うとより難しくなる。
2列の関係性は自由。
選手同士の距離が近くなるため、列の間隔が狭い方が難しい。
ある一点(ピボッティングポイント)を中心とし、
隊形を維持したまま移動する要素
列の内と外ではすべるコースが違うので、線をまっすぐ保ったままなめらかに回転(ピボッティング)していくことは難しい。
要素の最中に形が変化したり、ホールド(つなぎ方)のバリエーションや列、スケーターのポジションが入れ替わるなど、様々に変化する要素
背合わせで通る方が、通り抜ける場所が見えにくいので難しい。三角形や四角形の辺が入れ替わるもの、二列のラインがこすれるように通り抜けるものなどがある。
ノーホールド(腕をつながない)なので全身で音楽を表現できる。
個人の表現だけでなくブロックのコースが変化したり、スケーターのポジションが入れ替わることによってシンクロのならではの表現ができる。
4種類まで同時に行うことができる。
スパイラルとイーグルのペアで滑ったり、スパイラルの隊とイーグルの隊がすれ違うなど、同じフリースケーティングムーブを選択しても実行の手段は様々。カーブやタイミングを合わせることが難しい要素ではあるが、スピードにのって実行されたムーブエレメンツは迫力があり美しい。
ブロックの隊形で行わなければならない。
シングルのようにバリエーションでの評価もあるが、最も重要視されるところはスピンのはじまりから終わりまで、すべてのスケーターの動きがシンクロナイズ(同調)されていることで、それはたとえ3回転であっても難しい。
16人構成の場合8ペアで構成される。
スピン、ステップシークエンス、ペアピボットから選択。ペアスピンやデススパイラルなど、アイスダンスやペアでみられるような技が楽しめる。
単独で行うエレメンツとは異なる人数規定がある。
おこなうエレメンツは相互に関係性を持っていいなければならず、制限のある中で独創的な動きが実行されるとGOE(出来映え点)でプラス評価がもらえる。
シンクロナイズドスケーティングエレメンツを組み込んでもよい。いかに音楽構成を表現したり、強調しているかが重要で、クリエイティブなことが実行されるとGOEでのプラス評価がもらえる。
過去にはシンクロは1回転以上のジャンプは禁止されていたが、チームの構成規定人数の変更などにより、現在はそのような制限は取り払われた。
シングル、ペア、アイスダンス等の要素を取り入れることができ、各々のスキルを最大限に活用できる、最も自由度の高い要素であるためチームの特色がでる。
実際は3人で持ち上げることが多く、土台の選手(サポーティングスケーター)が滑走し続けるものは、停止したままのリフトよりも難しい。また、リフトされている選手(リフティングスケーター)がサポーティングスケーターの上でポジジョンを変えることも難しいとされる。
シニアチームにしか許可されない難易度の高い要素で、スケート競技の中でシンクロでしかみられない大技。音楽に合わせて四体のリフトが上がると圧巻の迫力。
シンクロの演技は要素をつなぎ合わせることで完成するが、この要素と要素の間の隊形変化や工夫された動きをトランジションと呼び、チームの個性があらわれるポイントである。
トランジションは所要時間やスムーズさ、見た目の美しさや独創性を求められる。
腕のつなぎ方のことをホールドと呼び、つなぐ位置で呼び名が違う。ショルダー、エルボ、ハンド(リスト)、ノー・ホールドなどが存在する。ホールドを行ったと認められるためには、全員が実行していないと認められない。
腕の曲げ伸ばしによって変化をだしたり年々バリエーションが増えているのも特徴である。
ステップ、スピード、カーブ、様々なことをそろえるため、地道な練習を行うだけでなく、心を通わせて助け合いながら演技を作り上げるので、良い演技ができたときの喜びも大きい。
世界大会では、その喜びが会場に伝わった時にはスタンディングオベーションがよく見られる。
シングル同様、転倒するとDED・・ディダクション(-1点)がつく。2人以上の転倒は(-2点)。
一人のつまずき、転倒が大きな事故につながることもあるので、選手たちには常に完璧さが求められるとともに、アクシデントに対応する柔軟性も必要とされる。
国際スケート連盟の定める規定によると、世界大会はシニアとジュニア、2つのカテゴリにおいて行われる。
試合直前の7月の時点での年齢が15歳以上の選手からなるシニアチームによる世界選手権と、13歳以上19歳未満の選手からなるジュニアチームによるワールドチャレンジカップ、もしくは世界選手権(交互に開催)の2つの試合が毎年行われる。
世界大会ではチームは16名の正選手、4名の補欠選手の合計20名で構成されねばならないとされる。
日本からは毎年シニアのカテゴリに1チーム出場しており、出場チーム選考会を兼ねた、全日本シンクロナイズドスケーティング選手権も世界大会のルールに準じて行われる。
2010年より独自のルールのジャパン・シンクロナイズドスケーティング・オープン大会が全日本選手権大会と同時開催されている。これにより、世界大会の規定に満たないチームにも大会出場の機会が与えられ、国内でも少しずつ幅広い世代でシンクロチームが増えつつある。
シンクロナイズドスケーティングは日本国内ではまだ知名度が低い競技であるが、アメリカや欧州を中心に世界には多くのシンクロナイズドスケーティングチームが存在する。
今後冬季オリンピック入りが期待されている競技であり、技の精度や演技の幅が年々進化するなどこれからの発展が期待されている。
参考資料